18:28 2018/10/15 東京聖テモテ教会 - 主日の福音

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★太田信三 司祭による主日の福音

★主日の福音(2025年8月3日)
(聖霊降臨後第8主日・特定13、C年)「頭の中は私でいっぱい!」(ルカによる福音書12:13-21)
 ある人が、遺産のことで自分の兄弟を説得してくれ、とイエスに願いました。この人は、遺産のことが頭から離れないのでしょう。財産のことは、自分の生活、食べていけるかどうかということと直結する、非常に切実な心配事、命に関わる問題と言えるでしょう。この種の思い煩いは、生きている限り私たち誰にでもあるものです。つまり、イエスの前にいるのは、私たちと同じ心配事で一杯の人間なのです。この人に向かってイエスは語り始めます。「あらゆる貪欲に気をつけ、用心しなさい。有り余るほどの物を持っていても、人の命は財産にはよらないからである。」
 イエスは富や財産そのものを否定しているのではありません。「貪欲に気をつけなさい」と言われたのです。「貪欲」とは、飽くことなく欲し続けることで、貪欲の行き着くところは、富や財産を拝むことです。これさえあれば生きていける、神など必要ないと信じることです。だからこそイエスは、遺産のことで頭が一杯の彼に、貪欲に陥った「愚か者」のたとえを語りました。
 たとえに登場するのは、土地が大豊作に恵まれた金持ちです。この金持ちのセリフを原文で見ると、一人称のオンパレードです。直訳はこうです。「私(・)の実りを、私(・)が集めるために、私(・)は何をすべきか。」「私(・)の倉を私(・)は壊し、より大きいものを私(・)は建て、そこにすべての麦と私(・)の良い物を私(・)は集める。」このように、彼の頭のなかは「私」で一杯です。こうなってしまうと、他者も神も入り込む隙間はありません。神はこの人間を「愚かな者」と呼びます。彼は財産を死によって没収されることも、それが「一体誰のものになるのか」も知らぬまま、偶像を両手に抱えながら、安心を手に入れたと浮かれているからです。イエスはこの人を、「神のために豊かにならない者」と言います。豊かさを私(・)のためだけに留め、私(・)のためだけに用いる生き方は、神から厳しく非難されます。  先週の福音は「主の祈り」でした。主の祈りの主語は「私たち」です。イエスは日々、「私たち」と祈りなさいと教えられたのです。私たち人間はすぐ、私(・)に支配されてしまうからです。いつも「私たち」という主語で祈り続けなさいとイエスが教えたのは、それが「神の前で豊か」にされる生き方だからです。「すべてのものは主の賜物」であることを忘れず、「私たち」を主語に生きることができますように。

★主日の福音(2025年8月10日)
(聖霊降臨後第9主日・特定14、C年)「小さな群れよ、恐れるな」(ルカによる福音書12: 32-40)
 ルカによる福音書の第9章から始まった、イエスのエルサレムへの旅=ご受難への旅が進むにつれ、弟子たちは今後のことを心配し、恐れを感じ始めています。師であるイエスの立場のみならず、自分たちの立場も危うくなるかもしれないという恐怖が大きくなってきています。その弟子たちに向かってイエスは、「小さな群れよ、恐れるな。あなたがたの父は喜んで神の国をくださる。」と言われました。
 神の国こそ、私たちクリスチャンの目的地です。しかし、目的地は分かっていても、道を外れてしまうのが人間の弱さ、罪というものです。「あなたがたの宝のあるところに、あなたがたの心もあるのだ」とイエスは言われましたが、どうしても人間は不安や恐れの中で、安心や保証を求め、目に見える宝に心を注いでしまうものです。先週の福音で「愚か者」とされた人もそうでした。また、戦争を繰り返す愚かな人間の根底にも、この「恐れ」があるように思われます。イエスは、「目をさましていなさい」と言われますが、目を覚ましていることなど人間にはできないのです。しかしイエスは、その人間の弱さを心底ご存知です。だからこそ今日もまた、たとえ話しによって弟子たちに神の国を明らかにされるのです。そこに希望、喜びがあるから、恐れなくても大丈夫だと伝えてくださるのです。
 今日のたとえ話しの後半では、主人自らが腰に帯をしめ、僕たちを席に着かせ、そばに来て給仕をすることが語られます。この食卓こそ、来るべき神の国の光景です。主の給仕のもとで真の喜びに与るこの食卓のなんとすばらしいことか。もしも主人が必ず帰ってくるとわかっているなら、さらに、その主人が帰ってきたときには最高の食事が待っていることを確信しているなら、その帰りが待ち遠しくてしかたがないはずです。この主人こそ、私たちの神です。神ご自身がこの喜びの時を用意し、約束してくれているのだから、「恐れるな」と、イエスは言ったのです。
 「目を覚ましていなさい」という言葉だけ聞くと、それはただ厳しい義務を課されているようにしか感じられないかもしれません。しかし、イエスは同時にその先の喜びを、希望を示してくださったのです。その希望、喜びの光に照らされるからこそ、私たちは恐れの中にあっても、歩み進めることができます。「小さな群れよ、恐れるな」という力強い励ましの言葉の裏には、神にある喜びへのイエスの確信と、信仰の真実があるのです。

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